5月21日、グーグルは「AI Edge Gallery」という実験的なアプリを静かにリリースした。このアプリは、スマートフォン上で大規模言語モデル(LLM)を完全にオフラインで動作させることができる画期的なツールだという。
筆者は以前、「完全無料!話題のDeepSeek R1をローカルで動かしてみた。MacやスマホでもOK!」という記事で、DeepSeek R1を「Pixel 9 Pro XL」で動かす検証記事を執筆したが、あれから数ヵ月が経ち、ついにGoogleがスマホローカルLLMの分野に本格参入してきたのだ。
今回は、同じPixel 9 Pro XLを使ってAI Edge Galleryの実力を徹底検証してみた。果たして、Googleが満を持して投入したこのアプリは、スマホローカルLLMの新時代を切り開くことができるのだろうか。
AI Edge Galleryとは
AI Edge Galleryは、Googleが今年5月21日に静かにリリースした実験的なアプリケーションだ。最大の特徴は、スマートフォン上で大規模言語モデル(LLM)を完全にオフラインで実行できることにある。
従来のChatGPTやGeminiといったAIサービスは、すべての処理をクラウド上でするため、インターネット接続が必須だった。しかし、AI Edge Galleryでは、一度AIモデルをダウンロードすれば、圏外や機内モードでも問題なく動作する。プライバシーを重視するユーザーや、通信環境が不安定な場所でAIを使いたいユーザーには大きなメリットとなるだろう。
アプリは現在Android版のみが提供されており、iOS版は近日公開予定となっている。ただし、実験的アプリという位置づけのため、Google Playストアでは配布されておらず、GitHubからAPKファイルをダウンロードしてインストールする必要がある。
最大の魅力は、グーグルの最新のLLM「Gemma 3n」に対応していることだ。このモデルは、テキスト処理に加えて画像認識も可能なマルチモーダル機能を搭載しており、写真について質問すると詳細な説明を返してくれる。Gemma 3nはHugging Faceでも公開されているが、Google AI Edge専用の「.task」ファイル形式でのみ提供されており、他のスマホLLMアプリでは利用できない。
これまでスマホローカルLLMの定番だったPocketPal AIと比較すると、配布方法(ストア vs. GitHub)や導入の手軽さでは劣るものの、対応モデルの新しさと独自性で大きく勝る。特に、PocketPal AIでは技術的に使用不可能なGemma 3nを体験できるのは、AI Edge Gallery唯一のアドバンテージといえるだろう。

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