このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 6 7 次へ

田口和裕の「ChatGPTの使い方!」 第34回

ローカルAI、スマホでサクッと動かせる グーグル「AI Edge Gallery」

2025年06月13日 17時00分更新

文● 田口和裕

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 5月21日、グーグルは「AI Edge Gallery」という実験的なアプリを静かにリリースした。このアプリは、スマートフォン上で大規模言語モデル(LLM)を完全にオフラインで動作させることができる画期的なツールだという。

 筆者は以前、「完全無料!話題のDeepSeek R1をローカルで動かしてみた。MacやスマホでもOK!」という記事で、DeepSeek R1を「Pixel 9 Pro XL」で動かす検証記事を執筆したが、あれから数ヵ月が経ち、ついにGoogleがスマホローカルLLMの分野に本格参入してきたのだ。

 今回は、同じPixel 9 Pro XLを使ってAI Edge Galleryの実力を徹底検証してみた。果たして、Googleが満を持して投入したこのアプリは、スマホローカルLLMの新時代を切り開くことができるのだろうか。

AI Edge Galleryとは

 AI Edge Galleryは、Googleが今年5月21日に静かにリリースした実験的なアプリケーションだ。最大の特徴は、スマートフォン上で大規模言語モデル(LLM)を完全にオフラインで実行できることにある。

 従来のChatGPTやGeminiといったAIサービスは、すべての処理をクラウド上でするため、インターネット接続が必須だった。しかし、AI Edge Galleryでは、一度AIモデルをダウンロードすれば、圏外や機内モードでも問題なく動作する。プライバシーを重視するユーザーや、通信環境が不安定な場所でAIを使いたいユーザーには大きなメリットとなるだろう。

 アプリは現在Android版のみが提供されており、iOS版は近日公開予定となっている。ただし、実験的アプリという位置づけのため、Google Playストアでは配布されておらず、GitHubからAPKファイルをダウンロードしてインストールする必要がある。

 最大の魅力は、グーグルの最新のLLM「Gemma 3n」に対応していることだ。このモデルは、テキスト処理に加えて画像認識も可能なマルチモーダル機能を搭載しており、写真について質問すると詳細な説明を返してくれる。Gemma 3nはHugging Faceでも公開されているが、Google AI Edge専用の「.task」ファイル形式でのみ提供されており、他のスマホLLMアプリでは利用できない。

 これまでスマホローカルLLMの定番だったPocketPal AIと比較すると、配布方法(ストア vs. GitHub)や導入の手軽さでは劣るものの、対応モデルの新しさと独自性で大きく勝る。特に、PocketPal AIでは技術的に使用不可能なGemma 3nを体験できるのは、AI Edge Gallery唯一のアドバンテージといえるだろう。

前へ 1 2 3 4 5 6 7 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ